素材について
彫刻素材には粘土を素焼きしたテラコッタ(土器)を採用している。彫刻と素材は切っても切り離せない関係にある。彫刻素材として好んで使用される素材は土・木・石・金属の四種があるがそれぞれ特性が大きく異なる。 彫刻家にとって素材選択は最も重要な要素の一つと言える。
粘土の特性
「粘土は千の利用法がある」と言われ、古代から我々人類の文明形成に大きく関わってきた。現代ではノーカーボン紙、油脂の脱色、ガソリンや灯軽油の脱水、鋳物、ボーリングの潤滑剤など多方面に使われている。水を含んでいるときは柔らかく、熱したり焼いたりすると堅くなり戻らない性質があるので陶器や磁器・煉瓦などに使われる。私の作品は陶芸で言う「素焼き」の状態にアクリル絵具で着色したものだ。 粘土は四大彫刻素材の中で最も柔らかい。量の足し引きが容易なので、加工がしやすいという特徴が挙げられる。それゆえ思い描いた造形のアウトプットが最も早くできる。同じ作家が同じモチーフを四素材で作ると概ね粘土→ 木→石→金属という順に制作スピードが変化するだろう。
私が動物彫刻において最も大切にしているのは「生命感」だ。 彫刻をどこで完成とするか、つまり表面の処理をどう終わらせるかというのは彫刻家にとって重要な問題だ。私の場合、作り込めば作り込むほど彫刻が硬くなってしまう。生々しい生命感のある「彫刻」から剥製のような「置物」に変わってしまう瞬間があるのだ。 柔らかく素早い造形が可能な粘土は、生命の一瞬を切り取ったような生々しさや動きを表現するにはうってつけの素材だ。できるだけイメージが新鮮なうちにアウトプットすることができる。また 粘土は指の跡やヘラの跡が残りやすく、作家の触覚や軌跡をダイレクトに表面に伝えることができる。
私が動物彫刻において最も大切にしているのは「生命感」だ。 彫刻をどこで完成とするか、つまり表面の処理をどう終わらせるかというのは彫刻家にとって重要な問題だ。私の場合、作り込めば作り込むほど彫刻が硬くなってしまう。生々しい生命感のある「彫刻」から剥製のような「置物」に変わってしまう瞬間があるのだ。 柔らかく素早い造形が可能な粘土は、生命の一瞬を切り取ったような生々しさや動きを表現するにはうってつけの素材だ。できるだけイメージが新鮮なうちにアウトプットすることができる。また 粘土は指の跡やヘラの跡が残りやすく、作家の触覚や軌跡をダイレクトに表面に伝えることができる。
焼成の流れ
造形を終えるとまずくり抜きという作業がある。 塊で作った粘土を表面から厚さ1~2cmになるよう内側をくり抜くのだ。塊のままだと焼成時に外側と内側で温度差が出来てしまい上手く焼けない、 内側の粘土に含まれる空気・水分が抜けないなどの不具合がある。 くり抜きを終えると7日ほど乾かし、自然に水分を抜いていく。水分を十分に飛ばさなければ焼成時の割れの原因となってしまう。 窯に入れ、少しずつ温度を上げながら10時間ほどかけ800°Cまで上げ、丸一日冷ましたら焼成完了 だ。内側から半球ガラスでできた玉眼を接着し、着色し完成となる。